Vol.33 段ボールの生い立ち

 

今回はアシート、SUASIの大きな特徴である使い捨て・吸汗・足裏刺激を実現している立役者である「段ボール」の生い立ちについてお送りしたいと思います。
身の回りにあふれ、現代産業を支える名脇役とも言われる段ボールはどのようにして誕生し発展していったのでしょうか。

 

●「段」の誕生

段ボールの原型が生まれたのは1850年代のイギリスにおいて波形に加工した紙の特許が取得され、帽子の内側の素材として使われたのが始まりです。

この時は現代のような平面の紙でサンドイッチしたシート状の段ボールシートではなく波形の1枚の紙単体でした。段ボール業界ではこのようなナミナミの紙を「段」と呼ぶことがあります。

この段が19世紀に英国紳士が被っていたシルクハットの内側の通気性の確保と汗取り用に用いられたわけですが、160年前のこのお話はまさに現代私たちが靴の内側の通気性と汗取りのために使っているアシートそっくりで驚きます。

 

1850年代のイギリス(1851年 ロンドンで世界初の万国博覧会)
1850年代のイギリス(1851年 ロンドンで世界初の万国博覧会)

 

●段ボールの発明

その後、ガラス製品などの緩衝材として用いられるなどして、1870年代には段に平面上の紙を貼り合せて2層構造とした「片面段ボール」が生まれました。この時をもって段ボールが誕生したという見方もあるのではないでしょうか。

片面段ボールは現在でもロール状にした「巻段ボール」としてホームセンターの資材売り場などでよく見かけます。片面段ボールになると緩衝用だけではなく包装用途としても用いられるようになりました。

その後、段の両面を紙でサンドイッチしたシート状の「両面段ボール」が生まれ、1890年代には現代と同じようなミカン箱タイプの段ボールケースが作られるようになりました。

 

ミカン箱タイプの段ボールケース(JIS 0201形)
ミカン箱タイプの段ボールケース(JIS 0201形)

 

●日本での段ボールの発展

日本においては、第二次大戦後の復興期にそれまで輸送用途に使われていた木箱の素材(木材資源)が確保しにくくなったことが段ボールが発展するきっかけとなりました。戦後復興に必要な建築資材の木材需要が急増したためです。

 

木箱
木箱

 

また段ボール箱は木箱に比較して様々な利点を持っていることが段ボール箱が急速に広まった要因でもあります。

木箱と比較した段ボール箱の利点:
・製造が簡単・・・機械で迅速にオーダーメイドサイズで生産可能。
・保管効率がいい・・・段ボールは畳んでコンパクトに大量に輸送し保管できる。
・組立てが簡単・・・木箱は金づちでの釘打ちが必要だが、のり付け、テープ止めで手軽に組立て可能。
・緩衝性がある・・・内容品の衝撃を吸収する柔軟性を持つ。
・小型・軽量・・・同じ箱内寸法でも外側の寸法が小さく、重量は木箱の3分の1程度。

 

また高度経済成長期には新3種の神器と言われた家電製品の普及や国民の生活レベルの向上、経済活動の活発化によって段ボールも大量消費されるようになり、消費・物流の面から段ボール箱は日本の経済発展の一翼を担ったといっても過言ではないでしょう。

 

新・3種の神器の一つ(カラーテレビ)
新・3種の神器の一つ(カラーテレビ)

 

●最近の段ボールの活躍

現在、段ボールは商品保護や輸送のためだけではなく様々な使われ方をしています。

例えば輸送後に店舗での展示販売にもそのまま使える輸送兼展示箱SRP(シェルフレディパッケージ)や、大規模災害時に避難所で使用される簡易ベッドや間仕切りなどといった形でも段ボールは活躍しています。

 

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以上、段ボールの生い立ちについてお送りしましたがいかがでしょうか。段ボール誕生時の目的がまさにアシートと同じだったなんて、とても素敵なエピソードです!

次回「知って得するインソールの豆知識」新年号は、アシートを少し改造?した試作品をテストしてみます。お楽しみに。